ストライク・ザ・ブラッド、完結への軌跡

シリーズの完結というのは読者にとって、嬉しいものでもあり悲しいものでもあるだろう。今までずっと読んできたシリーズが終わり、1つの結末を迎える事は読者にとって感慨深いものである一方、もうこれ以上この作品を読めないのかという悲愴感もあるものだ。

三雲岳斗の小説に出会ってから5年の月日が流れた。何故人生で初めて読んだライトノベルが『ストライク・ザ・ブラッド』だったのか今ではあまり覚えていないのだが、あの時からライトノベルを読みまくる生活が始まったというわけである。そして1年前の19巻で『ストライク・ザ・ブラッド』シリーズに「完結」の2文字がちらつき始めたのである。

そもそもストブラの完結をどこに見据えればいいのか考えたい。物語の終わらせ方はもちろん作者によってそれぞれだが、終点を持ってこないことにはどうしようもないだろう。例えば主人公の死亡、例えば主人公の高校卒業、例えば最終決戦の終了というように。

ストブラの世界線において目指すであろう点は、アニメ1期の23・24話「暁の王国篇」、それが書籍化された17巻「折れた聖槍篇」である。暁零菜と暁萌葱という暁古城の娘たちが出てきており、ある意味シリーズものでは鉄板の「n年後…」と言いながら子供世代の世界を描いて完結にもっていく形である(最近のだと『妹さえいればいい。』の最終巻とかですかね)。もちろんn年後の世界に話が飛ぶかは不明だが、少なくとも娘たちが出てきて1つの国を治めていると言うのであれば、それは絃神島での戦いが色々起こっても最終的に解決するという事でもある(=最終戦争の勝利が小説の終わりになる可能性があるということ)。

さて話を戻そう。19巻では絃神島での領主戦争が勃発し、遂に第1・2・3真祖が勢揃いした。真祖(=ストブラの中で最強レベルのキャラ)が絡んだ戦いとなると、第1部最終巻である15巻の真祖対戦を彷彿とさせるため、第2部の完結が脳裏をよぎる展開となっていた。

しかし第2部どころかシリーズ完結が囁かれ始めたのが19巻の終わりと20巻で、アヴローラ・フロレスティーナの登場である。アヴローラはストブラの根幹をなすと言っても過言ではない登場人物であり、加えてアヴローラの復活によって1巻からのポイントにもなっていた古城の眷獣12種類が遂に揃うということも意味している。その他にも21巻までにかけて、今まで出てきていたメンバーが続々と登場してきたり、今まで語られることのなかったカインや真祖たちの過去が明かされるなど、着々と伏線回収が行われてきたのである。

①領主戦争は絃神島の領主を決める戦い(=20年後の世界線に話が繋がる)
②登場人物がフル出演
③12の眷獣勢揃い
④語られなかった過去の話、伏線回収を行う
どう見てもシリーズを完結させるようにしか見えない文章構成のため、おそらくほとんどの人が「ストブラ完結かあ」と思ったに違いない。

21巻のあとがきにはこのような事が書かれていた。 「(前略)本シリーズもいよいよ大詰めということで、この巻では、ついにシリーズ最大にして最後の謎が明かされています。“天部”とはいかなる存在だったのか、異境とはなにか、かつて第四真祖と咎神カインの間になにがあったのか、吸血鬼とは、真祖とは、眷獣とはいったいなんなのか—これまで延々と先延ばしにしてきた部分なので、いざ実際に描くとなると、けっこう不安というか緊張しまくっているのですが、なにはともあれ、楽しんでもらえたら嬉しいです。(以下略)」
作者自身もストブラ完結に向けて着々と準備を進めているとのことで予想は間違っていなかったという事が分かった。

<終わりに>

ストブラもついに最終局面ということで、自分の原点であるシリーズが終わってしまうかもしれないことに些か悲しいのだが、やはり楽しみでもあって今か今かと待ってしまう自分もいるなあと実感する。ストブラシリーズの完結まで駆け抜けてくれること期待して、今回のブログは終了したい。

<追記> 4月からアニメ『ストライク・ザ・ブラッド』の4期が決定しており、内容は原作16巻〜となっています。また特別編で「消えた聖槍篇」も発売とのこと。是非皆さんも買ってみてね!