「妹こそ至高!」〜妹キャラの重要性〜序章・最近のライトノベルはすごい!

妹キャラについてブログを書くということは先日ツイッターで告知したのですが、その中で様々な作品を登場させようと思っています。今回は序章として(もはや外伝)最近のライトノベル事情についてまとめようと思います。自己満自己満。

こんなの読んでられない!という方は、まとめがあるのでそこまで飛ばして下さい。以下ネタバレ注意。

[3大巨頭]

最近のライトノベル!の前に少しだけ雑談を。今から話すことは実は少しだけ言及したことがあります(といっても2年前ですが)。ブログ化もしているのでそちらも是非。

さて、けーえぬのライトノベル人生の原点とも言える3人の作家をご紹介しましょう。

<けーえぬの原点・三雲岳斗>

僕が初めて読んだライトノベルは『ストライク・ザ・ブラッド』でした(謎)。そしてライトノベルにハマった訳ですね。ストブラはアニメと並行した考察が中々奥深いです(ストブラの話は実は生放送中に喋っていた)。 ストブラのストーリー展開は終着点が決まってるが故に非常に読みやすい印象があります。しかしながら展開が非常にダイナミックでかなり振り回してくるので非常に読んでいて楽しいです(初心者にはおすすめしません)。

<ラノベの教科書・鴨志田一>

さくら荘のペットな彼女』『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』で超有名な鴨志田先生の文章は文章構造が非常に綺麗。読みやすさの極み。それでいてちゃんと面白いので評価はがっつり高めです。 ライトノベル初心者に勧める本としては筆頭だと思います(実際に本をクラスメートに紹介する謎授業では青ブタを採用しました、タイトル的に中々引かれましたが)。

「どっちの本が好きですか?」と聞かれる事がありますが、僕はさくら荘派です。理由は椎名ましろが大好きだからです。 というのは半分冗談で厳密に述べるなら、さくら荘の方が納得できるなあと思えるからです。鴨志田先生もそれを狙っているとは思いますが、読んでいて非常に心に響くんですね。主人公の不器用さや感情の動きが分かりやすく表現されていて分かりやすいのです。

<あとがきの帝王・葵せきな>

皆さん、あとがきって読んでますか?あとがきなんて所詮…みたいな方もいるらしいですが。普通あとがきは3、4ページくらいで、筆者のちょっとした話と関係者の方への謝辞が書いてあります。葵先生のあとがきは普通ではありません。なぜならページ数が2桁なのです…

とまああとがきが異常なのは置いといて、葵先生は何と言っても王道パターンをぶち壊したギャグ寄りの作風が特徴でしょう。『生徒会の一存』がまさにその代表格なのでしょうが、直近の作品である『ゲーマーズ!』でも納得頂けるでしょう。似たような作風で平坂読先生の『妹さえいればいい。』もあげておきます。個人差があると思いますが、ゲーマーズは非常に完成度の高い作品だと思っています。ギャグ系なのかな?なんて思って読み始めたらいつの間にか涙が出て来ているんですよね、これが(読んだ人にしか分からない感覚)。ゲーマーズ読まないのは流石に損だと思うので是非読んでみてね!

[最近のライトノベルはすごい!]

本題に入ります。先に断わっておきますが、当然全ての本を読めているわけではありませんし、僕の時間と気力の関係でカットした作品も多々あります。しかも大して面白くないです。覚悟して呼んでください(^^) まとめはまとめてやる(?)ので、しばらく本の紹介です。

鷺宮『三角の距離は限りないゼロ』

人前で「偽りの自分」を演じてしまう僕。そんな僕が恋したのは、どんなときも自分を貫く物静かな転校生、水瀬秋玻だった。けれど、彼女の中にはもう一人――優しくてどこか抜けた少女、水瀬春珂がいた。  一人の中にいる二人……多重人格の「秋玻」と「春珂」。彼女たちの秘密を知るとき、僕らの関係は不思議にねじれて――これは僕と彼女と彼女が紡ぐ、三角関係恋物語。 (電撃文庫より)

「多重人格の片方に恋をする」という設定だけで既に面白そうな作品。もうこれはドロドロな感じで行くのか?と思いきや、微王道な多重人格の片方がもうすぐ消えるという設定で一転、切ないラブストーリーになっています。どちらかと言うと、主人公の過去の方がドロドロしていてうおーって感じでした(あくまで主観)。

さて、この作品設定の力任せやな感ありますよね。読んだ感じだと、作者さんはかなりこの力任せ感を消していこうという努力が感じられます。ただ断定は出来ません。なぜなら3巻ラストで主人公とヒロイン別れちゃいましたから(突然降りかかる衝撃)。4巻で主人公とヒロインの距離感をどう動かすのか、非常に楽しみですね!

サキナギ『リベリオ・マキナ ―《白檀式》水無月の再起動―』

対吸血鬼戦闘用絡繰騎士《白檀式》――ヘルヴァイツ公国が誇る天才技師・白檀博士の“五姉弟”は欧州を吸血鬼軍の侵略から救う英雄となる……はずだった。 十年ぶりに目覚めた“失敗作”、第陸号・水無月は想定外の戦後を前に愕然とする。起こるはずのない暴走事故により、“虐殺オートマタ”として歴史に名を刻んだ五体の姉兄たち。さらに大公と吸血鬼王による突然の和平を経て、公国は人間と吸血鬼が平等に暮らす世界で唯一の共和国へと変貌を遂げていた。 亡き博士の娘・カノン、吸血鬼王女・リタとの出会いを通じ、新たな“日常”を受け入れていく水無月だったが――。 第25回電撃小説大賞《銀賞》受賞・オートマタの少年と二人の姫が織りなす、正義と反抗のバトル・ファンタジー起動!! (電撃文庫より)

オートマタの主人公と技師のヒロイン、そして吸血鬼の王女というかなり異色のトリオ。ただ物語の進み方はかなりテンプレよりでしょうか。「ロボットは感情を持たないが、もし感情を持ったならどうなるのか?」というタイムリーな話題が見え隠れしていて、中々考えられているなあと思わせられる作品です。

考えられているなあと1番実感したのは最後の場面。銀賞を取ったときは『水無月のメモリー』というタイトルだったそうですが、水無月のメモリーと考えると最後の場面がしっくりきます。最後の終わり方がめちゃくちゃ綺麗なんです。作者さんは最後の場面を書くために残りの文書を作ったのかなと感じました。

ちなみに2巻で妹キャラが出てきます。これは本編で間違えなく触れると思います(妹キャラと言えるのかなんとも言えないのですよ、このキャラ…)。

呂暇郁夫『リベンジャーズ・ハイ』

砂塵という有害物質による“塵禍"で文明が一度滅びた近未来。 砂塵を取り込んで異能力に変換できる“砂塵能力者"が力を持つようになっていた。 ここ偉大都市において、チューミーは、因縁の復讐相手“スマイリー"の行方を探りながら、復讐のためにその日暮らしの生活を送っていた。 情報を追って踏み込んだとある教会で、チューミーは治安維持組織である“粛清官"の大物、ボッチ・タイダラに身柄を拘束されてしまう。 絶体絶命のチューミーだったが、ボッチからの意外な提案を受け、一時的に粛清官に協力することに。パートナーとしてあてがわれたのは「これまでバディを解消されてばかり」というワケありのシルヴィ。正反対の性格と出自を持つ二人は、はじめは反発し合うのだが……。 小気味よい筆が紡ぎ出す、唯一無二で圧倒的な世界観!! バディものの王道でありながら、「異端」である二人を見事に描き出し、斬新なキャラ設定には舌を巻くこと間違いなし! 実力派新人による近未来SF復讐譚をお楽しみあれ!! (ガガガ文庫より)

最近の流行りである、過去の回想を幕間として章の間に挟み込む形式で書かれています。そしてこのラノベ、その幕間が厄介なのです。タイトルの通り、復讐者のお話で幕間で兄妹が出てきますから、どう考えても兄妹のどっちかが殺されるわけですよね。序盤を読む感じだと、死んだのは妹か…となる訳ですが、途中から様子がおかしいんですね。それで、兄が殺されて妹が兄のフリをしている!?と思う訳ですが、それも途中で否定されます。めちゃくちゃ混乱するのですが、物語が最終局面になってようやく理解できるという訳です。

と裏の世界の話を先にしましたが、表であるシルヴィ側のストーリーも中々のものです。序盤の展開が王道だっただけに、後半のトリッキーな切り口に感嘆しました。個人的におすすめです。

久追遥希『クロス・コネクト』『ライアー・ライアー』

陰キャで人間嫌い、だがかつて開催された『伝説の裏ゲーム』を全世界で唯一クリアした少年・垂水夕凪。平凡な高校生になった彼だったが、あるきっかけから「100人の凄腕プレイヤーが『姫』を殺す」新たな裏ゲームに強制的に招待された―『姫』として。しかも本来のゲーム内の『姫』である電脳神姫・春風は、夕凪と身体を入れ替えて現実世界へ。次々とトンデモな出来事を起こし、夕凪の人生を激変させていく。そしてゲーム内の『姫』の死=春風の死だと知った夕凪は、『約束された敗北』を覆すため、一つのミスも許されない究極のゲームクリアに挑む。『入れ替わり』から始まる超本格ゲーム―「俺たちはこれから、このゲームを完膚なきまでに攻略する!」(MF文庫Jより)

学生同士がランクを決める決闘〈ゲーム〉を繰り広げる学園島〈アカデミー〉。 俺、篠原緋呂斗は国内最難関の学園島編入試験で歴代トップの成績を叩き出し、 昨年度の絶対王者・彩園寺更紗を転校初日で陥落させ、 学園島史上最速で頂点に君臨する“7ツ星〈セブンスター〉”に成り上がった。 ――ああ、もちろん、そんなのは全部嘘だ。 大事をやらかした俺が学園島で目的を果たすためには、 嘘でもトップに君臨し続けなきゃいけない。 そのためならば、俺を主人として補佐する美少女メイド 姫路のイカサマも、 実は偽お嬢様だった彩園寺との共犯関係も何でも使ってやる。 じゃあ、世界を制する嘘を始めよう。(MF文庫Jより)

新刊のイチオシはこちらです。イメージとしてはノゲノラでしょうか。主人公がゲームで敵をバッタバッタと倒していくライトノベルです。

久追先生の良いところは、伏線の回収がしっかり行われていることとストーリーが2段構えになっていることでしょうか。久追先生は伏線を非常に分かりやすく仕掛けて非常に分かりやすく回収してくれますので、読んでいて安心します。もちろん伏線の回収し忘れもありません。ライアー・ライアー2で登場したアビリティ「ピンチヒッター」なんてまさにぴったりの例でしょう。ストーリーの2段構えとは、例えば主人公が神ムーブを見せて大逆転、俺TUEEEE!!となるのではなく、大逆転と見せかけてまだ勝っておらず再びピンチ!けどやっぱり逆転!ということです。主人公が一方的に逆転するよりも、更にもう一波乱あった方が面白くないですか?

ストーリーが面白いだけではなく、挿絵も神なのです。なんときのこのみのkonomiさんが描いています!お陰でめちゃくちゃエロい!クロス・コネクト1の最初の挿絵の破壊力はやばいですし、ライアー・ライアーではキャラがkonomiさん好みなのか、神絵が揃っています。

[新刊は何が違うのか]

さあ、ここまで完全に作品紹介でしたので内容がないよう… ここからはフルパワー自論を展開させていただきますね。

<新刊の特異性>

ライトノベルの新刊がどのような立場に置かれているのかを、一般論を交えて話していきましょう。ライトノベル作家として食っていける人はごく僅かというのはよく聞く話でしょうが、そもそもライトノベル作家になるのがまた難しいのです。どっかの出版社から本を出してもらわなければなりません。持ち込みで契約というのは中々難しいでしょうから、基本的には新人賞受賞が目標になります。 こちらはMF文庫の新人賞応募要項です(特に載せた意味は無い)。様々な出版社が新人賞を出していますので、どこかに引っかかるよう頑張る訳です。結果的に何が起こるのかと言うと、渾身の作品を作る関係で、この1つの文章でストーリーが完結しがちだということです。言い換えれば、2巻以降を続ける事が難しいという事でもあります。確かに受賞後に文章を付け足して2巻の橋を繋げるのは可能ですが、設定的に若干無茶な付け足しである場合もあります。要は何が言いたいのかと言うと、1巻の出来が良くても2巻以降の出来が落ちる場合があるということです(ライトノベルに限らず、映画やドラマでもあることです)。

初期のライトノベルは比較的緩い感じですが、今のライトノベルはかなり緻密なテクニックが詰め込まれた、完成度が高い作品が増えてきているのです。

<王道?>

王道とは「定番」「正攻法」という意味ではなく、「楽な道・近道」と言う意味です。金髪碧眼は王道だよな〜という使い方は間違っていることになりますが、こんなことを言うと友達がいなくなるので要注意。

ライトノベルには王道改めテンプレートが存在します。これはこういう展開になるな…とか、キャラの性格は容姿で判断できるな…とか分かってしまうあれです。これは初期の頃の作品が創り出したものですから、当然そこから来ているものということになります。

新刊ではどうなっているのでしょうか?あくまで個人的な感想ですが、テンプレを上手く使う本が多いなと思っています。例えば「明らかにテンプレにはめ込んだストーリーを提示しながら、結論をテンプレからずらす」とかでしょうか。そもそも設定の段階からテンプレに従わないものも多数あります。これらの作品は読者にインパクトを与えることができ、上手く使えれば圧倒的高評価を得ることができるのです。

[まとめ]

新刊を見るために本屋に行こうと準備していると、ある友達に言われました。「ネットで調べれば発売予定の本分かるじゃん、いちいち本屋に行くのめんどくない?」と。またある友達に言われました。「電子書籍の方が持ち運びが便利だし楽じゃね?」と。言いたいことは分かります。確かにそっちの方が便利でしょう。でも僕は今でも定期的に本屋に行っています。新たなライトノベルが毎週発売され、本屋の配置も毎週更新され、面白そうな新刊がどんどん出てきて、実際読んでみたらやっぱり面白くて。その一連の流れと言いますか。本屋に置いてあるライトノベルを実際に手にとって、ウキウキしながら持って帰って読む。なんかそれが良いんですよね。情報をあまり確認しないのも、電子書籍を買わないのもそれが理由です。

新たに出てくるライトノベルはどれも話がしっかり練ってあって非常に面白いです。古き良き作品も勿論好きですが、新たな発見、新たな冒険が出来る新刊はやっぱりいいなあなんて思うのです。